読みトーク 『食育』 国の推進計 画具体像明確に・・・金丸 弘美さん
3月13日付 読売新聞 「読みトーク」最終回より
健康で長生き、それを支える食ですが、厳しい状況にあります。
1970年代以降、ファーストフードなどの海外の外食企業が次々と入ってきたことや、インスタント食品の普及などもあって、簡単に、安く、どこでも手に入る便利な食べ物が好まれるようになりました。その結果、偏った食生活を招き、便秘、肥満などの様々な問題が起きています。
長寿で知られた泉重千代さんなどを輩出した、鹿児島県・徳之島の伊仙町で調査をしたことがあります。長寿で町おこしをするための裏づけデータをとるのが狙いでしたが、平均寿命は飛び抜けて長寿とは言えませんでした。逆に、30歳から40歳前半の死亡率は平均より高くなっていました。
昔とは食べているものが違ってきていることが背景にあります。以前は 地元でとれた小魚や野菜を食べていましたが、最近では油を使った料理が多くなるなど、食生活や習慣が変化しています。泉さんたちが生まれた地域ですらこうですから、健全な食を取り戻そうという基本計画の理念自体は正しいと思います。
国の数値目標には違和感を感じます。例えば 学校給食で地場産の物の使用を30%以上にするとしていますが、給食センターの大型化、給食の外注化などが進み、地域の小さな生産者の農産物などは使いにくいのが実情です。
また、政府全体で進めようとしているとはいえ、実際には文部科学省を中心とした教育の一環のようになっており、食の現場にボランティア活動を求めていることが気になります。魚をさばく省巣を見せたり、農家で体験農業をさせたりする場合、1回ならなんとかなっても、継続するのは難しい。経済的にも成り立つような仕組みを国全体で考えてほしいと思います。
農家や食品生産の現場で 「食育って何をしたらいいかわからない」という声をよく聞きます。地域の食材をどう食べるかなどを具体的に描くことが必要です。そうでないと、食育推進を唱えても、効果は上がりにくいと思います。
金丸 弘美 食品ジャーナリスト。 主な著書に 「子どもに伝えたい本物の食」「まともな食べ物が食べたい!」「本物を伝える日本のスローフード」など。53歳
以上が 新聞記事の全文です。気になる記事でもあり 最終回ということもあり そのまま掲載いたしました。